1. 「プライベートクラウド構築」回帰が進む2026年、その背景にあるもの

「プライベートクラウド構築」を検討する企業が、ここ数年で急激に増えています。きっかけの一つは、BroadcomによるVMware買収後のライセンス体系変更です。永続ライセンスが廃止されてサブスクリプション化され、中堅企業では更新後の年間コストが買収前比で3〜4倍に跳ね上がるケースが報告されています(エンタープライズジン)。Gartnerは2028年までにエンタープライズ規模のVMwareワークロードの約35%が他環境へ移行すると予測しており、この動きは一過性のものではありません。
同時に、パブリッククラウドの費用高騰やデータ主権規制の強化も、企業が自社インフラへの回帰を検討する後押しになっています。実際、OpenStackのグローバルなコンピュートコア数は2018年の1,000万コアから2023年には4,500万コアへと5年間で350%成長しており、13年を経てなお新規採用が続いている状況です(OpenStack公式ブログ)。
こうした背景から、「もう一度自分たちでプライベートクラウドを構築すればいいのではないか」という発想が現場でも経営層でも自然に浮かびます。実際、技術的にはそれは可能です。問題は、その先にあるDay2運用まで見据えられているかどうかです。
2. OpenStack × Kubernetes(K3s)で「自分たちのクラウド」を作るとはどういうことか

技術的な選択肢としてまず理解しておきたいのは、KubernetesとOpenStackは競合する技術ではなく、役割が異なる点です。Kubernetesはコンテナオーケストレーション基盤であり、OpenStackは仮想マシンを通じてハードウェアリソースを抽象化する「クラウド基盤」です(Red Hat)。この2つを組み合わせることで、OpenStackの各サービス(Nova、Neutron、Cinderなど)をKubernetes上のコンテナワークロードとして運用し、ローリングアップデートや自己修復といったクラウドネイティブな運用性をOpenStack自体にも持たせる、という構成が実現できます。
その基盤としてよく選ばれるのが軽量Kubernetesディストリビューションの K3s です。K3sは単一バイナリで100MB未満というフットプリントに収まる完全準拠のKubernetesで、モダンなカーネルとcgroupマウントさえあれば動作します(K3s公式ドキュメント)。エッジ環境やホームラボ向けに設計された軽量性が、そのまま「自前OpenStackを支える基盤」としても転用できるわけです。
数台のサーバーであれば、OpenStack-HelmをK3sクラスタ上にデプロイすることで、コンピュート・ネットワーク・ストレージが一通り揃った「自分たちのプライベートクラウド」を、想像以上に短時間で構築できてしまいます。ここまでは、多くのインフラエンジニアにとって決して高いハードルではありません。
3. Day2運用で立ちはだかる「見えないコスト」

問題は「作った後」です。OpenStackを24時間365日体制で自前運用する場合、実務上は最低2名を常時アサインできる体制が必要になり、年間換算でおよそ10名分のフルタイム人員が必要になるという試算があります。クラウド運用エンジニアの平均年収を基にすると、この人件費だけで年間70万ドル超という計算になり、これに加えて別途サポート費用が発生します。一方、マネージドOpenStackサービスであればホスト単位の固定料金で提供されるケースもあり、一定規模を超えると自前運用よりも経済的になる場合があります(Ubuntu公式ブログ)。
さらに、実際の運用現場で挙げられている課題として、アップグレードの複雑さと、小規模チームでの運用負荷の高さが指摘されています。最新5リリース以内を使い続けているデプロイメントの割合は2022年の72%から2023年に81%まで改善したものの、依然として2割弱が塩漬け状態にあるのが実情です(OpenStack公式ブログ)。
AIワークロードを載せる場合はさらに複雑さが増します。GPUリソースの専用スケジューリングとノードプール最適化、学習と推論でのインフラ分離、Cephを用いたストレージ階層設計、テナント分離やネットワークセグメンテーションによるセキュリティ確保など、2026年時点のベストプラクティスとして挙げられている論点は多岐にわたります(VEXXHOST)。これらを自チームだけで継続的にキャッチアップし続けるのは、決して軽い負担ではありません。
こうした運用実態を踏まえると、その運用工数、実はK3sベースのマネージドサービスに任せてしまえるのではないか、という発想が出てくるのも自然な流れです。KuboはK3sベースでありながら標準的なKubernetes APIをそのまま使える「Pure Kubernetes」を掲げており、AI-Driven Deploymentによって初期構築の負荷を大きく下げられる設計になっています。
4. 「内製すべきか、マネージドに任せるべきか」の判断フレームワーク

ここまで見てきたように、「作れるかどうか」と「作り続けられるかどうか」は別の問題です。プライベートクラウド上でKubernetesを運用する場合のコスト・パフォーマンスをEKSやGKEと比較検証する分析でも、初期構築費用だけでなく運用フェーズを含めたトータルで評価する重要性が指摘されています(OpenMetal)。コストを「見える化」すること自体はツールで可能になっても、それだけで「運用工数そのもの」が消えるわけではありません。
判断の分岐点になるのは、データ主権・Air-Gapped要件が本当に必須かどうかです。
- 金融機関・医療/製薬・公的機関など、完全自社管理やAir-Gapped運用が必須の場合: 内製かフルマネージドのオンプレ型かの二択になります。ここで検討したいのがKubo On-Premiseです。データ主権を自社で保ちながら、固定ライセンスによるTCOの予測性と、ベンダーロックインのない標準Kubernetes運用を両立できます。
- 要件が「コスト効率」や「運用負荷の軽減」が主目的の場合: 無理に自前でOpenStackを構築するより、Kubo CloudのようなK3sベースのマネージドK8sを使う方が、Day2運用のコストを大きく圧縮できる可能性があります。
いずれの場合も、「まず自前構築してから困る」のではなく、構築前の段階でDay2運用まで含めたTCOを試算しておくことが重要です。判断に迷う場合は、お問い合わせから自社要件に合わせた無料相談を受けることもできます。
5. まとめ
「プライベートクラウドは自分たちで作れる」という主張は、技術的には正しい面があります。OpenStackとK3sを組み合わせれば、数台のサーバーからでも本格的なプライベートクラウド環境を構築できます。しかし、それはあくまで「入口」に過ぎません。
本当に問われるべきは、24時間365日の監視、頻繁なアップグレード、セキュリティパッチ運用、GPUワークロードへの対応といったDay2運用を、自チームで継続的に担い続けられるかどうかです。VMwareライセンス高騰を背景にオンプレ回帰の機運が高まる今だからこそ、「作れるか」ではなく「作り続けられるか」という視点で、内製とマネージドサービスの分岐点を見極める必要があります。
EKS/AKSの高コスト・複雑さ・ベンダーロックインに悩む必要はもうありません。K3sベースのKuboなら、本格的なKubernetesの機能をそのままに、圧倒的なコスト効率で運用できます。まずは料金プランで、自社のワークロードに合った選択肢を比較してみてください。